Building No.248 2021年 春号-非会員
6/12

含みの影響を受けている。ただし、コロナ禍が収束し経済が正常化すれば、賃料は底打ちし、場合によっては上昇するだろう。2023年以降はまただらだらと下方に推移する。向こう4〜5年では14〜5%の下落という予想をしている。但し、2008〜2014年では4割以上賃料が下落した。足元の市況ではそこまで落ちることは無いだろう。日銀短観の業況判断指数とオフィスの稼働率との間には一定の相関性がみられる。但し、過去のパターンをみると、回復時にはオフィス稼働率は、業績判断指数に1年ないし1.5年遅行する傾向がある。稼働率は回復傾向にあるとはいうものの、まだしばらくは今の水準が続くだろう。向こう2〜3年、空室率は3%以下にとどまると予想する。2021年、2022年は供給が少ない。今後も東京への需要の集中が進む。毎年ビルが竣工しているのだが今年は低い水準にとどまる。幸い供給サイドのプレッシャーはないので空室率は下がる局面も出てくる。しかし、2023年以降、特に2025年には供給が多い。パンデミックは収束してもこれだけの供給がでてくると空室率は上昇する可能性が高い。新規供給のエリア別分析では、品川、田町での開発の竣工が2025年。六本木赤坂エリアではストックに比較して多くの供給がみられる。今後、東京以外の都市では賃料は堅調に推移。地方都市では向こう1年空室率は上昇。その後はほとんどの都市では2020年から2023年にかけては空室率が下がるとみている。賃料は全国的に緩やかに下落傾向にある。東京は2020年に比べて2023年は10数パーセント落ち込むと予想しているものの、それ以外の都市はそこまで落ちないだろう。東京とそれ以外ともに9割がリモートワークを導入。しかしオフィス稼働率では格差がある。東京以外では全席数の75%以上稼働しているケースが多い。東京は3割弱だが地方都市は40%強。人口密度や通勤事情が影響しているのではないか。リモートワークによるオフィス面積減少への懸念について、地方都市への影響は少ない。リモートワークのメリットは「社員の精神的身体的負担の軽減」が多いが、リモートワークの課題として「心身の健康管理が難しい」が注目される。生産性については「上がった」と「下がった」が拮抗している。職種、個人によって違う。ワークプレイスについて考えられる施策では「ソーシャルディスタンス確保のため1人当たりスペースを拡大する」というテナントもある。リモートワークの普及は必ずしもオフィス需要の減少につながるとは限らない。増床予定と減少予定は拮抗している。地方都市では増床がやや上回る。                    4オフィスの重要度についても拮抗している。「非常に低くなる」という回答は少ない。オフィスでなければ出来ないことが浮き彫りになってきたのではないか。重要度が「非常に高まる」という回答が10%を超えている。今後、オフィスの重要性は高まるが、あり方は変わる。ロケーション、どこで働くか、オフィスの立地は分散するのではないかと思う。🅰それもあると思います。リモートワークが増えても必ずしもオフォスの床は減らない。首都圏は本社機能が多い。事務所に勤めている方はバック系が多いので在宅勤務しやすい。地方都市では営業系が多く対面業務が多い、外回りが多い為、事務所に出社する傾向にある。🅰コワーキングの需要は増えている。その理由は変化してきた。コロナが出てきたときは感染者が1人出ると業務がストップ。そのため、営業部門を2班にわけていた。本社とコワーキングスペースに。緊急事態宣言空けの後は、サテライトオフィスとしての活用が目立つ。通勤時の感染リスクをおさえるため、千葉埼玉や多摩方面で需要が増えている。🅰賃料の3年間の下落率はおさえられるが、それ以降はゆるやかな下落傾向が続くと予想している。ただし、万博、IRなど、ポジティブな変動ファクターはある。🅰梅田志向なのは、大型オフィスを求めるテナントに対応する供給があったので選択されてきたのと、交通の利便性による。東京との行き来を考えるテナントは新大阪を選ぶ。しかし、大型の供給も続くし梅田志向は変わらない。東京についても言及しておくと、東京ではオフィス拠点は一部のエリアへの集中が続いてきたのが変わっていくだろう。より住宅エリアに近い立地にサテライトオフィスを求める。今後、都心でも埋まらないビルも発生する可能性がある。🅰広域に営業でカバーするテナントにとって魅力的。今後の開発のポテンシャルのある街。🅰後追いで変化する可能性がある。景況感がどれぐらいで回復するのかがポイント。リーマンショックの時はそうだった。株価の状況を見ても、景気回復は案外早いのではないか。また、地方は新規供給が少ない(リーマン時に比べて)のであまり下がらないだろう。質疑応答🆀地方で出社率が高いのは、リモートの環境が整っていないからなのか?🆀コワーキングの動向について、今後ニーズはあるのか🆀大阪は2025年に供給が集中するが、それ以降はどうなるか。🆀大阪は梅田志向の傾向は変わらないか。🆀新大阪の位置づけはどうみられるか。🆀地方の方の空室率が堅調に推移しているというが、東京の傾向が波及していくのか。3 地方都市のオフィスマーケットの  動向と見通し4 テナントアンケートからみた  中長期的なオフィスの需要Building No.248

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る