Building No.251 2022年 新年号-非会員
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定されている。再生エネルギーのパターンとしては、敷地内又は近隣に設置した再エネ電源からの直接調達。送配電網を介した小売電気事業者からの再エネ電力メニューの購入。発電事業者から再エネ電力証書(環境価値)を購入し、電力は別途小売電気事業者から調達するといったパターンがある。不動産にかかわる環境認証としては、建物自体の性能を評価するものと、所有、運用する企業等を評価するものがある。従来のレジリエンス、低負荷化(省エネ、CO2削減)、快適性だけでなく、健康促進、知的生産性の向上に配慮するオフィスが求められている。コロナ禍をきっかけにESG投資のS(社会)の観点がより重視され、健康不動産への投資・普及が期待されている。 「CASBEEは、働く人の健康性、快適性を支援する建物仕様、性能、取組みを評価するツール。「基本性能」「運営管理」「プログラム」からなる評価は、賃貸ビル経営に取り入れたい要素が多数あり参考にしていただきたい。選ばれるビルを目指し、脱炭素に向けた改修等の事例をいくつか紹介したい。①環境省「エネルギー対策特別会計補助事業わかりやすい活用事例集」にわかりやすい事例が掲載されている。◦「名古屋ビルディング」築53年の事務ウェルネスオフィス」の70店舗で構成。年間500万人来園。O2を115t削減(54%減)。グリー所ビル。テナントとグリーンリース契約締結しLED照明へ更新。エネルギーコストを年間237万円削減。Cンリース契約=オーナーの投資によるLED化工事につき、テナントの電気代削減分の一部をオーナーに還元する。②山下PMCが築25年の54階建ての超高層ビルで照明器具のLED更新を実施。光熱費年間625・3万円削減。8年で投資回収。CO2排出量1,529t/年削減した。おやまゆうえんハーヴェストウォークは2007年に開業した栃木県小山市の商業施設。2005年に閉園した「小山ゆうえんち」跡地開発。閉園した遊園地のメリーゴーランドを残すなどESGの観点で作られたオープンモール型ショッピングセンター。敷地面積130,000㎡。述べ床面積76,000㎡。駐車台数2,000台。大型スーパー、家電量販店、映画館、物販、サービス等◦屋外広場の芝生化(ヒートアイランド抑制、精神面のプラス効果、自然・環境学習の場、地域コミュニティの形成)③中小規模オーナービル「円昭ビル」。1億2,500万円投資(うち耐震補強3,100万円)。断熱工事、LED化、空調更新など。電気代44%削減。快適な空間で回収後入居率100%を維持している。賃貸面積は減少したが賃料は2500円/坪増加し、年間700万円の増収。Q リーディングテナントは今後住宅にも波及するか。業務部門のエネルギー消費が減少していないことが背景にある。住宅については聞いていない。◦ライトダウンキャンペーン(CO2削減環境省のキャンペーンを継続。消費電力、CO2削減、地球温暖化防止の普及啓発活動、企業や施設のイメージアップ)◦EV充電器の設置(お客様の利便性、EV普及を促進。充電インフラ補助金を活用)◦生分解性プラスチック製傘袋の使用(微生物に分解されて完全分解、環境負荷抑制、マイクロプラスチック化抑制)◦外灯水銀灯のLED化 (年間使用電力量の削減、年間CO2排出量の削減)◦空調レトロフィットの導入(省エネ性能が高い、最大13%削減、エアコンの長寿命化)◦小山市と災害支援協定の締結(災害時の一時滞在場所として施設の駐車場を開放、避難時のトイレ使用許可、臨時の給水拠点)◦シャトルバスの路線バス化(市の路線バスの一部廃止に対応し、施設のシャトルバスを路線バス化、地域社会・社会福祉への貢献、バス停の熱中症対策化)◦支援用自販機の設置(災害用自販機とNPOに一部寄付する寄付型自販機を設置)◦エコキャップ活動(ペットボトルのキャップを分別回収しワクチン変えて子供たちに届ける、800個でワクチン1本分、CO2削減)◦献血バスの定期的誘致◦SDGsに関連したイベントを定期開催◦防災備蓄品をフードバンクに寄贈(フードバンクとちぎから各地の児童養護施設へ配達)◦宅配便ロッカー(PUDOステーション)の導入◦駐車場の「おもいやりスペース」の塗装(適正利用促進と視認性向上)◦ソーラーPPAサービスの導入(施設の屋根に太陽光パネル設置予定)◦バイオマスごみ袋の導入を予定(植物由来の原料を30%以上配合、石油由来原料の使用量が少なくCO2削減に貢献)株式会社ザイマックス主任 聡氏環境松本 社会実施予定~おやまゆうえんハーヴェストウォークの場合~」4 選ばれるビルを目指してA     -  11Building No.251第二部②「SDGsの実践

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