北浜土佐堀の景観を守る竣工100年越え シンメトリーの外観が美しい萬成ビル|一般社団法人 大阪ビルディング協会
一般社団法人大阪ビルディング協会

ぶらり大阪ビル散歩

2023/01/26

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大阪中に点在する素晴らしいビルを巡る「ぶらり大阪ビル散歩」。

第六回目となる今回は、地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅と堺筋線「北浜」駅の間にある

大阪ビルディング協会 正会員の萬成商事株式会社様所有の萬成ビル を訪問しました。
近代的な高層ビルに囲まれた小さなビルには、たくさんの歴史が詰まっていました。

萬成ビルとは?

竣工は大正9年(1920)と、最近めでたく100年を突破したという萬成ビル。
竹中工務店がアメリカ人の建築士を呼んで建てたこのビルは、
当時、洋風建築の草分け的な存在で、
その時代の流行を取り入れた建物ではないために
いつまでも古さを感じさせないデザインになったといいます。

中でも美しいのがシンメトリーの外観。
現在の持ち主である萬成商事株式会社が取得した頃は、
それまでの会社の所在地である
「御堂筋から土佐堀なんかに移って・・・」
と嘆く声も聞かれたそうですが、
落ち着いていてどこかレトロな土佐堀通沿い雰囲気と合った
このビルの雰囲気を守るため、今でも看板を出さないなどの努力を続けているそう。
そういった努力がこの場所ならではの景観を作っています。

それでは中に入ってみましょう!

歴史を感じさせつつも

清潔感溢れる内観

ビルの中に足を踏み入れると、壁面やドアなど、様々なところが醸し出すレトロビルの雰囲気をすぐに感じられます。


最新のビルに比べると天井が低く、天井裏もなく、太い梁が走っていたり
「光ファイバーの敷設工事など本当に大変だった」
(萬成商事株式会社 小久保真英社長)とのことですが、 萬成商事の事業の一つがビルメンテナンスということもあってとても清潔。
心地よく快適な空間になっています。

歴オフィスから見える中之島の景色は

最高!

特別に、入居されている設計事務所のオフィスをお見せいただきました。
レトロな木目のドアを開けると、そこには想像を超える開放的な空間が。


壁いっぱいに広がる窓からは、ビルの裏を流れる土佐堀川と、その向こうの中之島の景色がど〜ん!
土佐堀川沿いに立つビルだからこその、オフィス街だとは思えない景色を眺めていれば、きっと仕事も捗ること間違いなし。
これだけで「こんな場所に事務所を構えてみたい」と思わずにはいられないんじゃないでしょうか。

希少なレトロガラスが残っています

もっと近くで景色を見ようと窓に近づくと、その窓自体もこのビルの大きな見どころの一つだと気づかされます。
レトロな建物でしばしば見られる波打ちガラスが今も残っていました。
遠くから見ると分かりませんが、近くから見ると景色がゆらゆら揺れているように見える波打ちガラス。
壊れてしまうと修復が大変なようですが、雰囲気は抜群。
あまりに繊細な波打ちゆえ、写真ではお見せできないのが残念です・・・。

屋上からは中之島のシンボル・中央公会堂を一望

階段を上がり、屋上へ。
ここからは、土佐堀川と中之島の景色を先ほどのオフィスよりさらにダイナミックに眺めることができます。
中之島の中心に見える赤くてレトロな建物は大阪市中央公会堂。
そこを中心とする中之島エリアはおしゃれできれいな雰囲気で、最近ではたくさんの観光客が集まるおしゃれスポットとしても有名です。

西天満に近く、テナントに弁護士事務所も

萬成ビルから土佐堀川、中之島、堂島川、と北上すると、その先にあるのが西天満というエリア。
ここは大阪高等・地方・簡易裁判所(中央公会堂の奥のグレーで窓がいっぱいの建物)や大阪辯護士會館、大阪法務局北分庁舎などが集まっているエリア。

そこからほど近い萬成ビルにも弁護士事務所が入居しているとか。

南を眺めると、ザ・北浜のビジネス街

川と公園の北側の美しい眺め。
では南側は?と目を向けると、そこには「これぞ北浜!」と納得の光景が。


土佐堀通以南にまっすぐに伸びる通りの両側には、オフィスビルがずらり。
まさに大阪中心部のビジネス街の眺めで、北側との景色のコントラストにびっくり、圧巻です。

中之島側から眺めると、ここだけ凹っと

一度ビルを出て、栴檀木橋を渡って中央公会堂を横目に萬成ビルの裏側に移動。
川の向こうからビルを眺めると、規則的な高さのビルがずらりと並ぶ中に、一箇所だけ背丈が凹んで見えるのが萬成ビルです。


高いビルの間にちょこんと立つ愛らしい姿が印象的ですが、それと共に、竣工から100年以上経ち、周りの景色がこんなにも変わっても北浜らしいレトロモダンな雰囲気を変わらずに守る気概を感じました。

周囲を高いビルに囲まれているため、より一層存在感を感じさせる萬成ビル。
話を聞いていると、古いビルを持ち続けることの大変さと、
その歴史を守りたいと思う気持ちの両方を感じることができ、
一つひとつのビルにそれぞれのストーリーがあるんだな。と、

再確認する今回の取材でした。

おまけ

外観の雰囲気や波打ちガラスだけでなく、ビルの細部を見ていると様々な場所に100年の歴史を持つビルだからこその趣を発見。
ドアノブやいろんな場所の金具が真鍮だったり、会社の表札が手書き文字だったり。


「昔はボイラー室があったらしいですが、今やそれがどこなのかは分かりません」
と、小久保真英社長は話してくださいました。
持ち主でも分からない、100年の歴史を持った謎が満載の萬成ビルでした。

#土佐堀 #萬成商事株式会社 #ぶらり大阪ビル散歩 #レトロビル活用

※掲載写真は、本記事用に許可をとり撮影をしたものです。写真撮影の可否については、事前にご確認いただきますようお願いいたします。 

© Building Owners & Managers Association, Osaka

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