四つ橋筋を一望する好立地、不思議な構造が歴史を語る信濃橋FJビル|一般社団法人 大阪ビルディング協会
一般社団法人大阪ビルディング協会

ぶらり大阪ビル散歩

2024/08/07

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大阪市内のビルを巡り、外側からだけでなく内側からも魅力を探る「ぶらり大阪ビル散歩」。

13回目となる今回は、四つ橋筋と本町通の交差点「信濃橋」の角に立つ信濃橋FJビルをご紹介。決して広くはない敷地に立つごく普通のコンパクトなビルながら、中に入ると思っていたイメージとのギャップにびっくり!独自の工夫で人気を博す注目のビルでした〜。

信濃橋FJビルとは?

東京オリンピックの翌年にあたる昭和40年(1965)に竣工。

その頃は四つ橋筋にまだ路面電車が走っていた時代で、9階建ての信濃橋FJビルは界隈の”高層ビル”の先駆けとして建築され、とても珍しがられたとか。当時は印刷業や文具販売を行っていた株式会社富士屋の自社ビルとして使用されており、地下には食堂もあったとか。

※写真は当時のお写真をお借りしました。

隣のビルとひっついている
とっても不思議な佇まい

交差点にあり、街を歩いていてもしばしば目にとまるこちらのビル。印象的なのは「NISHIMOTO BLDG.」と書かれた縦長の看板。それを境に折れ曲がり、直角の敷地に立っていると思いきや、実はこの部分は西隣の「ニシモトビル」で、一体化しているように見えるくらい接近しているのではなく、実際に一体化した外装になっているのだとか。

「現在の建築では絶対にありえない」と言われる特殊すぎる構造に驚きが隠せません。

それでは中を探索してみましょう!

白くすっきりとしたエントランス
階段まわりは歴史を感じさせる

信濃橋FJビルのエントランスは、白を基調とした明るくてすっきりとした雰囲気。1階にもテナントが入っているため通路だけで広さはないものの、目の前の大通りが見え、外からの光もたくさん入ってくるので心地いい解放感。

ビル自体はリニューアルされているものの、奥にある階段は竣工当時の趣を感じられます。

室内には無垢のオーク材を使用
おしゃれなデザイナーズオフィス

2014年のリニューアルで大きく変化し、このビルが他にはない人気のビルになった理由は室内にありました。

無垢のオーク材を使用したフローリングは、ごく一般的なオフィスビルといった外観からは想像がつかないおしゃれな雰囲気。「小さなビルだからできた」という思い切ったデザインは士業の方々を中心に人気を博し、「一度ここを見ると、他のビルが見劣りして感じる、とよく言っていただける」のだとか。

共用部分も無垢のオーク材を使用
音が響かないように工夫を重ねる

無垢のオーク材は共用部分の廊下にも使用。見た目の美しさは言わずもがなですが、フローリングのデメリットの一つである「足音」が気になるところ。

ですが、「音を抑えるためにフローリングの下の空間や専用のゴムのシートの敷き方を何パターンも試して、実際にヒールで歩いてもらって何度も何度も工夫を重ねた」といい、今は音に関する苦情は全くと言っていいほどないと言います。


四つ橋筋がドーンと見える
窓からの景色も開放的

ふと北側の窓をのぞくと、そこからは南北に伸びる四つ橋筋がドーンと見えます。街中にありながら交差点の角の立地かつ北側に地下鉄の出入口があるため遮るものがなく、「今後も半永久的に残る」自慢の景色になっています。

長い時間を室内で過ごす方々にとって、窓からの景色は重要な要素の一つですもんね〜。

屋上から見えるは景色
四つ橋筋と本町通の開放的な景色

最後に、恒例の屋上へ上らせていただきました。竣工当時は珍しい高層ビルだったものの、時代の変遷から現在は周りに高いビルも増えてきました。ですが、抜けのいい景色は健在。「昔は難波まで見渡せた」という景色はないものの、遠い難波のビルもちらほら見え、もちろん、北側の四つ橋筋の景色は素晴らしいの一言です。

歴史のあるビルを中心に紹介しているこの「ビル散歩」。長い歴史と引き換えに最新の大型オフィスビルのような規模感と設備はありませんが、この信濃橋FJビルのように、立地と工夫で他にはないメリットを生み出すビルもあるんだな、と気づかされました。

おまけ

信濃橋FJビルのすぐ北側には地下鉄四つ橋線・中央線の本町駅の出入口があります。地下鉄直結!・・・

ではありませんが、出て2、3歩でビルに到着するため、雨でも濡れることはほぼありません。室内の過ごしやすさもさることながら、毎日の通勤のことなので、雨でもスマートに出社できるって本当に素敵ですよね〜。

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※掲載写真は、本記事用に許可をとり撮影をしたものです。写真撮影の可否については、事前にご確認いただきますようお願いいたします。 

© Building Owners & Managers Association, Osaka

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