伊藤忠兵衛がルーツの「イトゥビル」 「三方よし」の精神で従業員も快適に
様々なビルを巡り、そのビルについて深く学ぶビル散歩。
18回目となる今回は、御堂筋と中央大通に面した抜群の立地を誇る「イトゥビル」にお伺いしました!
こちらのビルは、地下2階で地下鉄「本町」駅と直結しており、地下鉄の出入口も兼ねている”街のインフラ”ともいえるビルで、界隈を行き交う人々は意識せずとも訪れている可能性大。
実際、「駅で降りたインバウンドの方々がビルの方に流れてくる」ことも多いそうです。


イトゥビルとは?
イトゥビルは昭和41年(1966)の竣工。
「伊藤忠商事」、「丸紅」の創始者である伊藤忠兵衛の伊藤家の流れを汲むビルで、
地下4階、地上9階、延面積は26,146平方メートル。
歴史あるビルですが、もちろん現代の基準に合うように改修が重ねられており、
開館以降ほぼほぼの期間で満室をキープ。
開館以来のテナントも3割程度あるというとおり、様々な工夫で大きな満足を得ているビルです。

外観の雰囲気はレトロで重厚
これぞ御堂筋!の佇まいを守る
イトゥビルの外観は、歴史と重厚感を感じさせる有田焼の褐色のタイルが印象的。
このタイル、近くで見るとわかるのですが「3色説と7色説がある」と、一枚一枚の色あいが微妙に違っており、それがビルを遠くから見た際の絶妙な深みを生んでいるといいます。
同時代の御堂筋のビルにしばしば使われている有田焼のタイルですが、この外観によって、イトゥビルが御堂筋の都市景観に欠かせないビルになっています。
それでは中に入ってみましょう!
エントランスはシンプル
エレベータが6基もある!
御堂筋からビルの中に入るエントランスは
白を基調とした落ち着いた雰囲気で、
エレベーターがずらりと並ぶ空間に
木製のベンチが置いてあるだけとシンプル。
エレベーターは6基もあり、
朝の通勤時間帯も快適に出社できそう。


最も気になる謎
イト「ゥ」の意味とは
そしてなんといっても気になるのが
こちらのビル「イトゥビル」の読み方。
この表記を見ると「イ”トゥ”ビル」・・・と読みたくなるところですが、本当の読み方はシンプルに「イトウビル」だそう。
なぜそんな表記になっているのかというと、
ビルができた際のカタカナの表記の考え方で、
「イトウ(イトー)」のように読み方に「ー」が入るところに、現在のように大きな文字の「ウ」を入れるのではなく小さな「ゥ」を入れる、という書き方があったそうで、その表記方法を採用していたからだとか。
清掃スタッフの事務室兼休憩室や
地下のラウンジなど従業員満足度も高い
イトゥビルはテナントや利用者だけでなく、
こちらで働いている従業員の環境にも注力して改装を重ねています。
地下にある清掃スタッフの皆さんの事務室兼休憩室にお邪魔すると、とてもお洒落で広々としていて、
デスクのスペース以外にゆったりと過ごせるソファや大きなテレビが置かれていたりと快適です。
奥にある女性専用のロッカー&化粧スペースもとてもきれい!
地下3階にあるテナント従業員専用のラウンジもとても豪華です。



地下にある飲食店街もあり
ビル全体の雰囲気が明るい
歴史があり地下鉄直結のビルらしく、
地下のエリアには飲食店がずらり。
お昼のランチのお店探しには不自由することはなく、
様々なタイプのお店が並んでいて毎日でも飽きることはなさそう。
しかもよくよく見ると、床が外壁と同じくレトロで重厚感あるタイルで、その光沢と天井の木目パネル、ライトで地下だとは思えないほど明るい雰囲気です。
屋上からは御堂筋が遠くまで
高層ビルではないものの空が広い!
最後に恒例の屋上へ。
屋上からの景色はというと、高層ビルではないものの、ずらりと並ぶビルの高さが揃った御堂筋の景観と、二つの大きな通りが交差する場所の立地のため空が広く開放感は抜群。
イトゥビルが竣工した時代と現在の建築ルールの違いから他のビルより少し御堂筋側に出っ張っていて、御堂筋を遠くまで見渡せます。

読み方も不思議な”イトゥビル”でしたが、歴史に培われた重厚感と、現代の利用者の希望に沿った改装で、進化を続けるビルの現在地を学べた今回のビル散歩。
伊藤忠兵衛の名前が出てきたり、近江商人の経営哲学のひとつである「三方よし」の精神で快適に設えられた従業員専用スペースの快適さなど、見どころがたくさんありました!
おまけ

「インバウンドの方が間違えてビルに流れてくる・・・」という地下鉄直結のB2エレベーターホールは今後、
伊藤家の生家の模型の展示を中心としたギャラリーのような空間に改装する予定があるのだとか。
歴史あるビルを残しつつ、さらにそのルーツを展示することで訪れた人々に知ってもらうって、とても素敵ですね!
イトゥビルのさらなる進化に期待です!
#御堂筋 #イトゥビル #ぶらり大阪ビル散歩 #レトロビル
※掲載写真は、本記事用に許可をとり撮影をしたものです。写真撮影の可否については、事前にご確認いただきますようお願いいたします。