北浜のオフィス街にとけこむ今橋藤浪ビル。改修で木の温もりあふれるエントランスに|一般社団法人 大阪ビルディング協会
一般社団法人大阪ビルディング協会

ぶらり大阪ビル散歩

2023/10/10

見た目は近代的なビルでも、実は長い歴史と様々な秘密を隠し持ったビルをまわる「ぶらり大阪ビル散歩」。

第10回目となる今回は、北浜にて長い歴史を誇る今橋藤浪ビルにお邪魔しました。 碁盤の目状に整然と区画され、それぞれの筋や通りに沿って新旧様々なビルがずらりと並ぶ大阪の街並み。その中でも北浜といえば、長い歴史を持つレトロなビルから最新の高層ビルまで、多種多様なビルを見られる有数のビジネス街です。垣間見えるレトロな側面と、新たな時を刻むリニューアルされた一面を見せていただきました。

今橋藤浪ビルとは?

今橋藤浪ビルは昭和37年(1962)4月の竣工。昭和3年(1928)に創業し、倉庫業や通関業、貸ビル業など、物流や不動産の事業を展開している藤浪倉庫株式会社が「35周年を迎え、経営の確固たる基礎を計るために」建設。以来、大阪の経済の中心地であるこの場所で、様々なテナントを迎え入れ、長きにわたって立ち続けてきました。

北浜エリアにとけこむ
レトロでモダンな佇まい

北浜郵便局が1階に構える今橋藤浪ビルの外観は、この辺りでしばしば見られる、銀色の外壁が特徴的でレトロな雰囲気満載のビル。筋と通りの角に立地しており、サラリーマンが足早に歩く、北浜の平日昼間のありきたりな風景の背景に、これ以上なくマッチ。周囲に高いビルもなく落ち着いた雰囲気で、北浜駅から歩いてすぐの好立地も相まって、竣工当初より、ほぼ空テナントを作ることなく50年以上を過ごしてきたそう。本当にすごいです。

それでは中を探索してみましょう!

デザイン性が高く、
気の温もりを感じられるエントランス

ビルに足を踏み入れてまず驚くのが、先ほどまで見ていたメタリックな外観からは想像もつかなかった、温もりあふれる、無垢の木を使用したエントランス。リニューアルされたエントランスは、広さは竣工当初と変わらないものの、何本もの木がずらりと並ぶデザインで奥ゆきと広がりを感じられ、心地いい。近づくと今も感じられる香りも爽やか。通勤ラッシュに慌ただしく出社した方も、このエントランスを通り抜けるだけで心が落ち着きそう・・・。

リニューアル工事には
所有する山林のヒノキを使用

テナントへ提供するバリューアップとして計画されたこのエントランスのリニューアルですが、実は使用している木材は藤浪倉庫株式会社が所有する和泉市の山林で伐採されたものだそう。樹齢100年ほどのヒノキを、その数約50本伐採し、ヘリコプターで輸送。

3ヵ月と長い時間をかけて乾燥・加工し、ビルのエントランスの一部としてビルで働く方々にお披露目されました。「正月明けの初出に合わせてお披露目しました。テナントの方々の目に見えるところにバリューアップを、との思いで計画しましたが、好評で何より」(藤浪倉庫株式会社・藤浪寛之代表取締役社長)とのこと。

メールシュートなど
そこかしこに歴史を感じる

エントランスは最新のデザインですが、ビルの中を歩けばそこかしこに歴史を感じられるディテールが。レトロビルでおなじみの大理石の壁をよくよく観察しながら歩くと、「MAIL BOX」の文字とともに、以前使われていたメールシュートが。今は電子メールが中心ですが、当時はなくてはならないとても便利な設備だったとか。メールシュートの真横には北浜郵便局の裏口があり、何とも不思議な位置関係。

耐震補強工事済みを意味する

テナントの入れ替わりで入居準備が進むオフィスの雰囲気を特別に見せていただきました!広いオフィスは今はまだがらんとしていて、所々の太い柱や梁が目立ち、言わずもがなのビルの剛健さが垣間見られて新鮮。


そして奥の方まで歩くと、平成30年(2018)に耐震補強工事を施した際に設置された耐震システムを見ることができました。太い金属の柱がビルを支えており、見るからに安心です。


トイレやエレベーターなど
リニューアルで快適に

リニューアル工事では、トイレやエレベーターなど、様々な場所が新しく生まれ変わりました。特にトイレには大きくこだわったようで、女性従業員の声を取り入れ、鏡を大きくし、LEDライトで明るく、メイクなどが快適にできるよう考えてリニューアルされたとか。確かに、明るいのにまぶしくない快適な照明で、仕事の合間の少しの時間とはいえ、ゆったりと過ごしたり気持ちを切り替えたりするのに良さそうです。

屋上からは北浜らしい街並み

最後に、屋上を案内していただきした。高層ビルからの見わたすかぎりの眺望・・・ではないけれど、同じような高さのビルが並ぶこのエリアに合って空が広く、解放感は抜群でした!


北浜のオフィス街にとけこんだ今橋藤浪ビルは、中に入ると無垢のヒノキのエントランスやリニューアルされた設備、耐震補強での高い安全性など、様々な特長があり、まさに「ビルに歴史あり」と思わせる内容でした!

おまけ

ビルが面する今橋通には、江戸時代には豪商といわれた鴻池などの両替屋が軒を連ね、一大金融センターを形成していたといいます。

その頃は「日本の富の七分は大坂に、大坂の富の八分は今橋にあり」と言われたほどで、大阪有数のオフィス街である現在の北浜につながる歴史がありました。

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※掲載写真は、本記事用に許可をとり撮影をしたものです。写真撮影の可否については、事前にご確認いただきますようお願いいたします。 

© Building Owners & Managers Association, Osaka

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