南船場の日だまりスポット 大阪農林会館|一般社団法人 大阪ビルディング協会
一般社団法人大阪ビルディング協会

ぶらり大阪ビル散歩

2022/01/20

 

「ぶらり大阪ビル散歩」第三回目は 、百貨店や賑やかな心斎橋筋商店街のある

心斎橋駅から歩いて5分ほど、南船場エリアにたたずむアンティーク感あふれる

株式会社 大阪農林会館様所有のビル「大阪農林会館」にお邪魔してきました。

大阪農林会館とは?

1930年(昭和5年)に三菱商事大阪支店として三菱地所が設計し、建築されました。

終戦後、当時財閥が手がけた建築物のほとんどはGHQに接収されてしまいました。
幸いにも、この大阪農林会館は接収を免れたのですが、財閥解体による三菱商事の解散に伴って売却されることが決まり、1949年 農林水産省OBが出資してビル購入。

戦後の食料統制を担う事務所や、農林省の資材調整事務所が入居し、戦後の大阪の食糧統制を支える拠点として使用されていました。

実は、南船場界隈に残る数少ない戦前建築でもあります。

写真:大阪農林会館様HPより

南船場の人気スポットになるまでの「実は」

2000年代に入り、海外の有名ブランドが直営店を構えたり、アパレルブランドや

ヘアサロンが入居をしたりするようになり、南船場を代表するおしゃれスポットとなりましたが、

実は、その以前は一階に24時間営業のスーパーが入居するいわゆる

「雑居ビル」のような雰囲気だったそうです。

(今の姿からは想像もできない。。!)

その当時設置されていたサンシェードの跡が、一階入り口付近にうーっすらと残っている以外、

今は全く当時の面影はありませんが、実はそんな歴史(?)を経て今の素敵なレトロビルへと

変貌していったとのことでした。

そんな実は。な歴史を持つ大阪農林会館の見どころをぶらりとご紹介していきたいと思います!

レトロビルには珍しい窓の多さ!

こちらが、正面からみた建物の全景。

数えるものを途中であきらめるくらいの窓の多さじゃないですか!?

この窓のおかげで、建物の内部に光がたくさん入って、ビル内部がとても明るいんです。

季節のデコレーションが素敵すぎる

エントランス

ドアを開けて中に入ると、市松模様のタイルが敷かれたエントランススペースが広がります。

お邪魔したのが11月下旬だったので、エントランスにはクリスマスツリーが!

社員の方が毎年手作りでデコレーションをしているんだそうで、建物のアンティークな雰囲気と相まって海外にいるみたいな気分に。

現役でビルの時間を統制する

味ありすぎな阿部式親子時計

一階エレベーター横にある大きな柱時計。これ、飾りじゃなくて現役で動いているもの。

各階のエレベーターホールにある壁掛けの時計と、この柱時計が連動しているんです。

毎朝、社員の方が時間を合わせ、お手入れをして大事に使っているんだそうです。

大きな窓から優しい光

そしてまず、注目していただきたいのがビル内部の明るさです。

アンティークな雰囲気がありながらも、大きな窓から優しい光が入るビル内部はとても明るい印象。

4階から5階を見上げるこの場所が、おすすめポイントだそうです。

各階のエレベーターホールにある

シャンデリア

戦前は、オパールや真鍮が施されたシャンデリアが設置されていたそうです。(なんてゴージャス。。)

このシャンデリアは近年設置されたものだそうですが、実は、よーく見ると各階シャンデリアのデザインがちょっとずつ違うんですよ!

見上げてごらん、5階の天井を。

5階は、このビルの中で一番設立当時の雰囲気が残っている空間だそうです。

見上げた高い天井にあるのは、薄い鉄板に装飾を施した贅沢な天井飾り。今では修理をするのも難しくなってきているので、大事に大事に使われているとのこと。

いいものを長く使い続けるため社員の方の努力があるんですね。

壁のタイルも当時のものが使われています。

ドライフラワーのスワッグと木の看板がまたおしゃれな雰囲気!

今回は、入居されているテナント様のご厚意もあり、テナント内部の写真も撮影させていただきました!

まずは、

303「STRATO」様

天井のアーチと配管がかっこいい!

天井のアーチ部分はこのように角ばったものと丸みを帯びたものと2パターンあるんですよ。

什器も雰囲気ありますね~。

「STRATO」様ではメンズアイテムを中心に、 「STRATO Bee」様ではレディースアイテムを中心に扱われています。

カップルでお買い物されている方も多い印象でした。

こちらは

202「Little $uzie Apartment Osaka」様

天井アーチの丸みが、優しい雰囲気。

セレクトされたお洋服もほんっとうにかわいくて、撮影もそこそこに普通にお買い物してしまいそうでした。

お店のロゴ。シンプルでかわいい。

お写真はありませんが、お店の方もかわいくて、もう、全部素敵。

401A 「flannagan」様

洋書と輸入文具がぎゅっと詰まったような店内は見ているだけでワクワクします。

建築に関する書籍や、設計に使う道具なども扱っておられ、建築に関わる方にとって、知る人ぞ知るショップなんだそう。

現役で使用されている蒸気ラジエータ―。

これのおかげでお店のなかはポカポカ。半袖でもいけそうな温かさでした(笑)

後半は、ぜひ注目していただきたいおすすめポイントを一気にご紹介!

アンティーク感が爆発している

ドアノブ!

使い込んだ感じがまたいい雰囲気。

この感じ、作ろうと思ってもなかなか出ないでしょうね。

今では貴重な、 ガラス窓

歴史あるビルに必ずと言っていいほどあるのが、今では作れないガラスを使用した窓。

大阪農林会館でも随所に見られます。

すりガラスにキラキラの星?のような模様が入った昭和型板ガラス。

70年以上経った今でもピカピカです。

この窓ガラスは、波模様のような加工があり、そのおかげで窓から入る日差しが柔らかくなるんです。

また大きな窓なのに、開け閉めがすっごく軽いのが衝撃的でした。

(丁寧なメンテナンスを続けられているからこそだなぁ、としみじみ)

※ 危ないので、社員の方がいないときは窓に触らないようにしてくださいね。

木の色が、 ときを感じさせる

味ある案内板

各階に設置されているテナント名が書かれた案内板。

時間と共に木の色が変化していて、いい味でてます。

最近のものはステンシルシールですが、古いものは手書きなんですよ。

どこにあるかな。手書き文字。

手書きでかかれた「非常階段」の文字

ビルの内部はこんな手書きの案内表示が随所に見られます。中にはすっごく貴重なものもあるんですよ。

ぜひ、お越しの際は、手書き文字探しをしてみてください!

ご案内してくださった社員の方が

「テナント様がこのビルの良い雰囲気を作り上げていっている。」と

おっしゃっていたのが印象的でした。

ビル愛溢れる社員の方のお話は楽しくて、ついつい取材時間オーバー。

聞けば、イベントなどでお話されることもあるそう。

どうりでお話が上手いわけだわ、と納得。

コロナが収束したときに、またイベントがあればぜひ参加してみたいです。

大阪農林会館の外観は、どっしりとした重厚感がありますが、

大きな窓と高い天井、そしてビルを大切に維持し続けている社員の方の努力で、

ビル内は、なんだか温かい日だまりのような雰囲気がありました。

またひとつ、レトロビルの新しい魅力に気付けたような気がします。

大阪のレトロビルはほんとーーに奥が深い!!

おまけ

見どころポイントを最後にもう1つご紹介!

よーく見ると、階段の縁が減ってるのがわかりますか??

戦前~戦後もこのビルの中で人が働き

使われてきた結果なんですよね。

(忙しい時とか、階段めっちゃダッシュしたのかな(笑))

少し目線を下げるとこんなところにも、歴史を感じるポイントがあるんです。

ぜひ、「大阪農林会館」で歴史を感じながらショッピングを楽しんでください。

お読みいただき、ありがとうございました!

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#ぶらり大阪ビル散歩 #レトロビル

※掲載写真は、本記事用に許可をとり撮影をしたものです。店内の写真撮影の可否については、それぞれの店舗にご確認いただきますようお願いいたします。 

© Building Owners & Managers Association, Osaka

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